【油絵初心者】チント?ヒュー?油絵の具の名前について
絵の具の名前に意味はあるの?
こんにちわ! Shiva’s artオーナーのShivaです。
独学で油絵の制作と販売を行っております。
絵の具にはそれぞれ色の名前が付いています。
ブルーやレッドなどの言葉はわかりますが、「チント」や「ヒュー」といった聞き慣れない言葉がくっついている絵の具をよく見かけませんか?
今回は初心者様にもわかりやすくそんな色の名前の意味について解説していきます!
色の理解が深まる内容になっていますので、ぜひ絵の具を選ぶ際の参考にしてみてくださいね♪
目次
鉱物由来の色
絵の具の色は含まれる顔料で決まります。
この顔料に使われることが多いのが鉱物です。
鉱物の名前がそのまま絵の具の名前になることもあります。
ラピスラズリやエメラルドといった鮮やかな宝石が顔料となる絵の具もありますが、とても高価で販売されています。
・コバルト
金属の「コバルト」が顔料として使われている色に名付けられています。
酸化コバルトと他の顔料を組み合わせることで、「コバルトブルー」や「コバルトグリーン」などの色を作っています。
コバルト自体は人体に有害性があるため、絵の具にも有害性がある旨が記載されていることがあります。
しかしながら実際に危険性はほとんどなく、絵の具を直接食べるなど非常識な用途で使わない限り問題はありません。
・カドミウム
金属の「カドミウム」が顔料として使われている色に名付けられています。
上述の「コバルト」と同じく有害性がある顔料ですが、基本的には問題はありません。
・オキサイド
「Oxide」= 「酸化物」を意味します。
金属の酸化物などを顔料にし、例えば「オキサイドレッド」は酸化鉄の赤みを用いて色が作られています。
・マース(マルス)
「Mars」= 「火星」を意味します。
Marsの意味は火星ですが、英語的には「酸化鉄」も同じくMarsで表現します。
火星の表面が酸化鉄で覆われていることが由来とされています。
マースカラーは顔料に酸化鉄が使われています。
上述の「オキサイド」と似ていることから「マース○○オキサイド」などと重複して名付けられることもあります。
・オーカー
「Ocre」=「黄土」を意味します。
黄土色を表現する言葉で、天然の粘土質の顔料が使われています。
顔料としての歴史は古く、古来の壁画などにも使用されていたのだとか。
土地由来の色
地域の土の色が由来となり絵の具の名前になったものもあります。
実物を見たことがないのでわかりませんが、きっとその土壌の土の色なんでしょう。
・アンバー
アンバーは一般的に「琥珀色」として認知されていますが、絵の具のアンバーは由来が違うようです。
イタリアのウンブリア州で採れる土の色が由来となっています。
Umbria(ウンブリア)= アンバー が語源です。
水酸化鉄と二酸化マンガンを含む天然の土が顔料になっています。
・シェンナ
シェンナはイタリアのトスカーナ州の都市シエーナで採れる土の色が由来となっています。
Sienna(シエーナ) = シェンナ が語源です。
水和酸化鉄とケイ酸コロイドとマンガンを含む天然の土が顔料になっています。
濃さや明るさが特徴の色
元となる色との濃淡や明るさの違いを示すために専用の言葉が付いた絵の具もあります。
・ロー
土が焼けていない生の状態を意味します。
主に先述のアンバーやシェンナといった土の色を再現した絵の具の濃さ違いを表すために付けられている。
バーント系の色よりも淡く明るめ。
・バーント
土を焼いた後の状態を意味します。
主に先述のアンバーやシェンナといった土の色を再現した絵の具の濃さ違いを表すために付けられている。
ロー系の色よりも濃く暗め。
・トランス
透明性の高い絵の具に付けられる言葉。
トランスの付く絵の具は透明色のため被覆性が弱く、油で薄く溶いて重ねるグレーズ技法に向いている。
・ルミナス
色の明度が非常に高い絵の具に付けられる言葉。
パキッと明るく発色の良い蛍光色。
再現した色
絵の具には元々ある色を再現した色があります。
高価な顔料に代わり安価な顔料を使用する場合や、有害性のある顔料に代わり安全な顔料を使用する場合などがこのケースになります。
再現された色には再現先の名前+廉価版を示す言葉が付けられています。
元となる色よりも発色の良さや混色による濁りやすさなどの点で劣る部分もあるようですが、決して品質が悪いというわけではありません。
安全で取り扱いがしやすい顔料で代用し、高い品質で安価な絵の具を提供してくれています。
・ヒュー
「Hue」= 「色相」を意味します。
カドニウムやバーミリオンといった高価であったり有害性のある顔料の色を、安価で安全な顔料で再現した色に名付けられています。
・チント
「Tint」=「色合い」を意味します。
この名前が採用されている絵の具は先述の「ヒュー」と同じく代替品の色になります。
「ヒュー」と違いはないものの、絵の具の発売時期や開発メーカーによってこの「チント」が名付けられているようです。
・ノーバ
「Nova」=「新星」を意味します。
有害性などで製造廃止となった顔料の絵の具の色を、代わりとなる新しい顔料で再現した色。
その他の理由が由来の色
ここまでご紹介してきた以外にも絵の具の特徴に合わせて付けられた名前もあります。
・パーマネント
「permanent 」 =「恒久性がある」
元々クロム系の顔料を使った色は時間の経過とともに色が暗くなる欠点がありました。
クロムに代わる顔料の採用により元の色を再現し、問題を改善した絵の具にこの「パーマネント」が命名されました。
先述の「ヒュー」や「チント」と同じく再現した色ですが、色の暗くなる欠点をなくし恒久的に色味を保つというイメージを大切した結果「パーマネント」を採用したそうです。
・コンポーゼ
「Composer」= 「組み合わせる」を意味します。
明確な名付けの基準は発見できませんでしたが、言葉の意味からその由来を予測することはできます。
恐らく複数の顔料を組み合わせることで作り出した色に「コンポーゼ」が名付けられているのだと思います。
・アイボリー
「Ivory」=「象牙」を意味します。
アイボリーブラックなどで目にする言葉ですが、象牙や動物の骨を炭化させて作る顔料に由来しています。
象牙は国際取引が禁止されているため、実物の象牙を使った顔料はほとんどでまわりません。
一部合法な抜け道で作られるケースもあるそうですが、大変貴重な顔料であることには変わりありません。
現在一般的に販売されているアイボリーブラックは象牙ではなく、動物の骨を炭化させた顔料が使われています。
そのため「ボーンブラック」とも呼ばれるそうです。
やや赤みが含んだ黒色なのが特徴です。
おわりに
絵の具って近い色がたくさんあるので、名前が違うと戸惑いますよね。。
私も画材屋さんに行って「何が違うのこれ?」と疑問に思ったことがあります(笑)
今回は自分の勉強も含めて絵の具の名前についてまとめてみましたが、私と同じく疑問に感じていた初心者様の参考程度になれたら幸いです。
ここまで記事を読んでいただきありがとうございました。
よければ当店Shiva’s artも覗いていってくださいね♪
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